本比較表の対象と読み方
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残土の処分先や受入先を探す方法は、この数年で大きく多様化しました。国土交通省が運営に関わる官民マッチング、都道府県が運営するシステム、自治体の登録制度、民間事業者が提供するマッチングサービス、そして搬出入を記録するシステムなど、性格の異なる仕組みが併存しています。本ページは、それらを同じ軸で並べ、読者が自分の立場に合う仕組みを検討できるようにするための比較表です。
比較の軸は、運営主体、対象(発生側か受入側か)、対応地域、料金体系の種類、トレーサビリティ機能、公表実績の有無の六つです。いずれも公式サイトや公開資料で確認できる事実項目で、優劣や順位は示しません。公開資料に記載のない項目は推測で補わず「公式サイト参照」と表記しています。また、官が運営する登録制度やトレーサビリティ記録システムは、厳密にはマッチングの場ではありませんが、受入先を選ぶ際に参照する情報源として同じ表に並べています。この種別の違いは表の下の解説で補足します。
なお、本ページの記述は2026年10月時点の公開資料に基づきます。民間サービスの料金や提供範囲は変更されることがあり、官のシステムも運用要領が改訂されます。実際に利用する際は、各サービスの公式サイトで最新の条件を確認してください。制度面の前提は盛土規制法の実務で整理しています。
【比較表】残土処理・マッチング・受入先検索サービス6件
| サービス・制度 | 運営主体(官/民) | 対象(発生側/受入側) | 対応地域 | 料金体系の種類 | トレーサビリティ機能 | 公表実績の有無 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 建設発生土の官民有効利用マッチング(国土交通省) | 官(国土交通省。申請は一般財団法人日本建設情報総合センターの専用サイト) | 搬出する工事と搬入する工事の双方(官民の工事間の情報交換) | 公式サイト参照 | 登録無料(国土交通省の利用手引による) | 公式サイト参照 | あり(地方整備局による受入募集事例が公表されている) |
| 静岡県建設発生土マッチングシステム(SSM) | 官(静岡県) | 搬出側工事・搬入側工事・中間処理場の情報(官民の工事が対象) | 静岡県内の情報が中心。詳細は公式サイト参照 | 無料(県の広報資料による) | 公式サイト参照 | あり(県の広報資料で登録状況を公表) |
| 山梨県 民間残土処分場登録制度 | 官(山梨県) | 受入側(民間が設置・管理する残土処分場を「残土処分受入地」として登録) | 山梨県内 | 公式サイト参照(登録要領で確認) | 公式サイト参照 | あり(登録状況の一覧を公表。2026年6月19日時点) |
| ストックヤード運営事業者登録制度(国土交通省) | 官(国土交通省。地方整備局等が登録事務の窓口) | 受入側(再び搬出する目的で土砂を一時堆積するストックヤードの運営事業者) | 全国(地方整備局ごとに登録簿を公表) | 公式サイト参照(登録の有効期間は登録日から5年) | 制度上、運営事業者に搬出先の適正確認が求められる | あり(登録簿・勧告一覧・取消一覧を公表) |
| ツチオク | 民(プレテリス・ホールディングス合同会社) | 排出側と受入側の双方 | 受入先情報の検索は全国47都道府県が対象。事業の展開は愛知県が起点 | 登録・閲覧・応募は無料。成立時のみ、双方が流通量1立方メートルあたり200円(税別)を負担、1取引の最低額は1万円(税別) | 機能名の記載なし。土砂受領書・土砂等管理台帳・搬入搬出管理票をPDFで作成する無料ツールあり | 取引実績の公表なし。受入先情報は約1,860件を整備(2026年10月1日提供開始、ベータテスト中) |
| SSTRACE SYSTEM(建設発生土トレーサビリティシステム) | 民間の財団法人(一般財団法人先端建設技術センター) | 搬出入の記録(運搬・受入の現場)。受入先を探す機能ではない。2026年2月から新規申込の受付を休止中(公式サイト告知) | 公式サイト参照 | 公式サイトの案内を参照(2024年4月に料金体系を改定) | あり(ICカードをスマートフォンにタッチして搬出入を記録) | あり(国土交通省の施策との関連やセミナー資料を公表) |
2026年10月時点、各社公式サイト・公開資料に基づく。最新情報は各社サイトで確認してください。
表の読み方を補足します。「官民有効利用マッチング」とSSMは、工事の情報を登録して相手を探す「情報交換型」です。山梨県の制度とストックヤード登録制度は、受入側を行政が登録・公表する「登録型」です。ツチオクは民間が運営する「取引仲介型」で、手数料の発生条件が明示されています。SSTRACEは、受入先を探すのではなく、運んだ事実を記録する「記録型」です。これらは排他的ではなく、たとえば登録型の一覧で受入候補を絞り、情報交換型や取引仲介型で相手を探し、記録型で搬出入を残す、という組み合わせも考えられます。
料金体系の見方にも注意が必要です。行政が運営する仕組みは登録や利用が無料とされるものが多い一方、民間の仲介サービスは取引成立時に手数料が発生する形が一般的です。ただし、手数料が低いことと、処分費や運搬費の総額が低いことは別の問題です。処分費・運搬費は当事者間で決まるため、複数の候補から見積もりを取り、距離と土質、受入条件を合わせて比べる必要があります。費用の構成はコスト・資格・キャリアで整理しています。
各サービスのプロフィール:公式資料から読み取れる事実
建設発生土の官民有効利用マッチング(国土交通省)
国土交通省は、2015年6月に建設発生土の官民有効利用に向けたマッチングを開始しました。背景として、内陸受入地へ搬出された土の多くが工事間で使われていないこと、民間の仮置き場で不適切な取り扱いがあったことが挙げられています。公共工事の間だけでなく、民間工事との間や民間工事同士の調整も促進する仕組みで、搬出先が決まっていない土の発生場所、土量、土質、搬出予定時期などを登録し、利用したい工事が情報を検索します。
運用の考え方は、2019年8月の運用マニュアル(案)や2020年1月の利用手引(案)にまとめられ、対象者の登録基準や手順が定められています。日本建設業連合会、全国建設業協会、各地方の建設副産物連絡協議会などが協力機関として関わります。山梨県のように、建設発生土情報交換システムを使って官民の工事間利用に取り組む自治体もあります。公式の説明は国土交通省の報道発表資料で確認できます。実際の登録条件や画面は、運営する団体の専用サイトで確認してください。
静岡県建設発生土マッチングシステム(SSM)
静岡県が運営する県域のシステムで、公共工事と民間工事のどちらの土砂も登録・検索の対象とします。土砂が出る現場、土砂が欲しい現場、中間処理場の情報を登録でき、県の広報資料では官民を問わず無料で手軽に利用できる点が案内されています。2023年8月31日には、画像・動画の掲載、条件に合う案件が出たときの自動メール配信、意見・要望フォームの機能が追加されたと、県の広報資料で案内されています。
県が運営することの特徴は、地域の事情に合わせた運用ができる点です。県域に限った情報であるため、全国規模の仲介サービスと違って、地域の受入地の情報と、県の制度の変更が一体となって更新される利点があります。一方、県外への搬出を検討する場合には対象外となります。公式サイトはSSMのウェブサイトです。利用の流れや登録方法は、サイトの案内と静岡県の広報資料で確認してください。
山梨県 民間残土処分場登録制度
山梨県は、工事間利用が困難な建設発生土を適正に処理するため、民間が設置・管理する残土処分場を県が「残土処分受入地」として登録する制度を設けています。登録の申請を希望する事業者は、事前に技術管理課や所管の建設事務所へ相談でき、登録要領と様式集が公開されています。登録状況の一覧は県が公表し、本ページの作成時点では2026年6月19日現在の一覧が掲載されていました。
この制度は、受入先を探す側が登録の有無を確認する手がかりになる一方、登録されていない処分場が不適正であることを意味するものではありません。登録要件や公表内容は県の制度に基づくため、他県の同種の制度とは異なります。詳しくは山梨県の民間残土処分場登録制度のページをご覧ください。同県は官民のマッチングについても、建設発生土情報交換システムを用いた取り組みを案内しています。
ストックヤード運営事業者登録制度(国土交通省)
2021年7月の熱海市土石流災害を受けて創設された制度で、不法盛土の発生を防止し、建設発生土の適正利用を徹底することを目的とします。ここでいうストックヤードは、再び搬出する目的で外部から搬入された土砂を一時的に堆積する場所で、土質改良プラントや自社の資材置き場も含み、営利か非営利かを問いません。登録を受けた事業者とストックヤードは登録簿で公表され、勧告一覧や取消一覧も併せて公開されます。
登録の有効期間は登録日から5年間で、更新申請は満了日の180日前から42日前までに行います。標準処理期間は申請から90日で、登録内容に変更が生じた場合は30日以内に変更届を提出します。登録を取り消された場合は5年間再登録できません。運営するストックヤードから搬出する土砂は、事前に搬出先の適正を確認する必要があります。関東地方整備局の登録制度のページに概要が掲載されています。他の地方整備局も同様の登録事務を担当しています。
ツチオク
ツチオクは、愛知県名古屋市に本社を置くプレテリス・ホールディングス合同会社が2026年10月1日に提供を開始した、残土の排出側と受入側をつなぐ民間のマッチングサービスです。排出側が場所、土量、土質、搬出時期を登録すると、近隣の受入事業者に通知が届き、受入側は単価や運搬費、距離を添えて応募します。排出側は応募を並べて比較できます。公式サイトによれば、現在はベータテスト中です。
料金は、会員登録、案件の閲覧と登録、応募が無料で、取引が成立したときだけ手数料が発生します。排出側と受入側がそれぞれ流通量1立方メートルあたり200円(税別)を負担し、1取引の最低額は1万円(税別)、50立方メートル未満は一律1万円です。処分費や運搬費は当事者同士で直接やり取りします。汚染土や産業廃棄物が混じった土は登録できず、契約やトラブルは当事者間で解決する旨が案内されています。無料の帳票作成ツールで土砂受領書や管理台帳などをPDFで作成できます。公式サイトはツチオクです。取引件数などの実績は公表されていません。
SSTRACE SYSTEM:建設発生土の搬出入記録
一般財団法人先端建設技術センターのサイトで紹介されている、建設発生土のトレーサビリティを確保するためのシステムです。ダンプトラックの運転手が、土の積込みと荷下ろしの際にICカードをスマートフォンにタッチすると、搬出入の記録が電子的に残り、紙の伝票が不要になります。記録は、運行の記録をパソコン画面で確認でき、日報・月報として車両の運行回数や土量を集計できます。
土量は車両ごとにあらかじめ定めた定数で算出されるため、実際の土量とは一致しない場合があると、公式ページに注記されています。公式サイトでは、2023年12月の新システムのリリース、2024年4月の料金体系の改定が告知されており、2026年2月17日付で新規お申込みの受付を休止している旨も告知されています(料金体系は公式サイトの案内を参照)。国土交通省が2020年に公表した建設リサイクル推進計画で、建設発生土のトレーサビリティシステム等の活用が新たな施策に位置づけられたことが背景にあります。仕組みの詳細は先端建設技術センターのSSTRACEのページをご覧ください。ダンプの動態管理ツールとの違いは第5ページで扱います。
立場別に確認したい観点と、選び方の整理
どのサービスが自分に合うかは、立場と案件の条件によって変わります。優劣を示すことはできませんが、確認すべき観点を整理することはできます。
土を出す側(発注者・元請・解体や造成の事業者)
最初に確認するのは、土の性状と量です。土質区分、含水の状態、汚染の有無、搬出時期、現場から受入先までの距離が、候補を絞る条件になります。公共工事に関連する土であれば、官民マッチングや県のシステムで工事間利用の相手が見つかる可能性があります。民間の仲介サービスは、不特定の受入事業者に広く通知できる反面、相手の許可や登録の確認は利用者自身が行う必要があります。ツチオクの案内でも、契約は利用者同士で行い、運営は調停や仲裁を行わないとされています。
土を受ける側(ストックヤード・処分場・造成地の事業者)
受入側は、自らの許可や登録の状況を、搬入を検討する相手が確認できる形で示すことが重要です。ストックヤード運営事業者としての登録は、国の登録簿で公表されます。民間の仲介サービスに受入先として掲載する場合も、受け入れられる土質、量、時間帯、搬入ルートといった条件を明示しておくことで、条件の合わない問い合わせを減らせます。受入側が盛土規制法の許可対象となる場合の注意点は第2ページに整理しています。
運搬・記録の観点
どの仕組みで受入先を決めても、運んだ事実を記録に残すことが、後の説明責任を支えます。SSTRACEのような専用システム、汎用の動態管理ツール、紙の伝票などを組み合わせて、搬出元、運搬車両、受入先、日時、土量を一貫して記録する体制を整えておくと、行政の調査や発注者の確認に対応しやすくなります。動態管理ツールの比較はダンプ動態管理・電子マニフェスト・トレーサビリティDXをご覧ください。
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