ニュースの概要
株式会社ヨシハラ機工は、岡山市北区長野に流動化処理土「スラソル」を製造するプラントを建設すると、PR TIMESを通じて発表した。流動化処理土とは、建設工事で出た土に水やセメント系の固化材を混ぜ、液体に近い状態で流し込めるようにした埋め戻し材である。固まると必要な強度が出るため、狭い場所や地中の配管まわりでも締め固め作業を省ける。専用プラントを地域に置くことで、残土の受け入れから材料の出荷までを近い距離で完結させる狙いがうかがえる。残土処分費の上昇や、人手不足による施工品質のばらつきが課題となるなか、地方都市でもこうした設備投資が進み始めたことを示す動きといえる。
引用元: 岡山市北区長野に流動化処理土「スラソル」の製造プラントを建設 | 株式会社ヨシハラ機工のプレスリリース(PR TIMES)
分析・見解
土を捨てずに材料へ戻す、流動化処理土の仕組み
流動化処理土は、掘り出した土を廃棄物として扱うのではなく、新しい埋め戻し材として使い直す技術である。土に水と固化材を加えて混ぜると、生コンクリートに近い流れやすさになる。これをポンプや車両で現場へ運び、穴や隙間に流し込む。固まった後は、周囲の地盤と同程度か、それ以上の強さを持たせることもできる。
従来の埋め戻しは、砂や砕石を入れて重機で締め固める方法が主流だった。この方法は、狭い場所で機械が入らないと密度が不足しやすい。後から地面が沈む不具合も起きやすかった。流動化処理土なら、液体のように隅々まで行き渡るため、こうした弱点を抑えられる。
専用プラントが現場に近いことの価値
この技術自体は新しいものではない。国内では1990年代から、下水道管の周辺や橋台の裏込めなどで使われてきた。それでも全国的に広がり切らなかった理由は、製造拠点が少なかったことにある。流動化処理土は時間が経つと固まり始める。そのため、運搬できる時間と距離に限りがあり、現場から遠いプラントでは使いにくい。
岡山市北区長野にプラントができる意味は、ここにある。市街地や周辺の工事現場へ短時間で届けられれば、品質を保ったまま出荷できる。逆に、近隣の現場から出た残土を受け入れて原料にすることもできる。運ぶ距離が短くなれば、燃料費も排出される二酸化炭素も減らせる。つまり、環境面と費用面の両方で利点が出やすい立地戦略だといえる。
残土問題と人手不足が追い風になる
建設残土の処分は、年々難しくなっている。受け入れ先の埋立地が減り、処分費は上がり続けている。さらに、不適切な盛土が引き起こした災害を受けて、盛土への規制も強まった。残土を出す側にとっては、どこへ運ぶかが工期とコストを左右する重い課題である。
もう一つの追い風は人手不足だ。締め固め作業は熟練の技能と手間を要する。流動化処理土なら、流し込むだけで品質が安定しやすく、現場の作業人数を減らせる。この二つの課題を同時に和らげられる点が、需要を押し上げる最大の理由だと考えられる。
見落とされがちな視点は品質管理の標準化
独自の視点として挙げたいのは、プラントの価値が材料そのものより、品質を数値で保証できる点にあることだ。現場で土を混ぜると、含水量や土質の違いで強度がばらつく。工場のように配合を管理できるプラントなら、試験結果を添えて出荷できる。発注者や検査担当者にとって、この説明のしやすさは大きい。再生材は品質が不安という先入観を、データで崩せるかどうかが普及の分かれ目になる。
ビジネスへの影響
土木・解体・設備工事の事業者が確認すべき点
まず、自社の現場で出る残土の量と処分費を整理しておきたい。処分費が高い工事ほど、流動化処理土への切り替えで総費用が下がる可能性がある。ただし、材料単価は砂や砕石より高くなることが多い。比べるべきなのは材料費だけではなく、処分費、運搬費、締め固めの人件費、手戻りの減少まで含めた総額である。
次に、発注者の仕様書で使用が認められているかを調べる。自治体によっては、再生材の使用を評価する制度がある。入札時の加点や、環境配慮の実績として使える場合もあるため、提案段階で材料の選択肢に入れておくとよい。
地域の取引先として関係を築く動き方
プラントが稼働すると、残土の持ち込み先と材料の調達先を同じ事業者でまとめられる。問い合わせ窓口を早めに押さえ、受け入れ可能な土質、出荷できる時間帯、最低発注量を聞いておくと、工程を組みやすい。試験練りの結果や配合表の提示を依頼し、社内の品質書類に組み込む準備も進めたい。
一方で、今回の発表だけでは、製造能力や価格の詳細は読み取れない。数字が公表されるまでは、小規模な現場で試験的に採用し、実績を積むのが現実的である。うまくいけば、他の工事にも広げていける。残土を廃棄の対象ではなく調達の対象として見直すことが、これからの建設実務に求められる発想になる。
