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JR貨物の9月輸送量は11%減の205万トン:鉄道貨物の強みと弱みを読み解き荷主の備えを考える

JR貨物の9月輸送量は11%減の205万トン:鉄道貨物の強みと弱みを読み解き荷主の備えを考えるのイメージ

ニュースの概要

JR貨物が発表した9月の輸送実績によると、貨物の輸送量は205万トンで、前年の同じ月と比べて11%少なくなった。物流専門紙のDaily Cargo電子版が伝えている。トラック運転手の不足を背景に、鉄道へ荷物を移す動きは追い風と言われてきた。その中での二桁の減少は、業界関係者にとって見過ごしにくい数字である。ただし、1か月分の実績だけで流れが変わったと断じるのは早い。天候による運休や品目ごとの需要の波、前年の水準との比較など、読み解くべき点が複数ある。本稿では、この減少をどう捉え、荷主や物流事業者が何を備えるべきかを考える。

引用元: JR貨物<9月> 輸送量は11%減の205万トン | ロジスティクス | ニュース(Daily Cargo電子版)

分析・見解

11%減を、一時的な要因と構造的な要因に分けて読む

9月の輸送量は205万トンで、前年同月より11%少なかった。1か月の数字だけで鉄道貨物の先行きは語れない。まず確かめたいのは、減った理由が一時的なものか、続くものかという点である。

鉄道貨物は天候の影響を受けやすい。台風や豪雨で線路が止まれば、その期間の荷物は一気に動かなくなる。さらに品目ごとの需要の波もある。セメントや石油、紙・パルプ、自動車部品、コンテナ貨物では、景気の感じ方がそれぞれ違う。内訳を見ずに全体の減少率だけで一喜一憂すると、判断を誤りやすい。

鉄道の強みは、止まった瞬間に弱みへ裏返る

鉄道貨物の最大の強みは、一度に大量の荷物を運べることである。10トントラック約65台分を1編成で運べるといわれ、運転士1人あたりの輸送力ではトラックを大きく上回る。二酸化炭素の排出量も少ない。

ただし、この強みは裏返しの弱点にもなる。大量の荷物が1本の線路に集中するため、止まったときの影響も大きい。2018年の西日本豪雨では山陽線が長期間不通となり、代行輸送のトラックが足りず、荷主が大きな混乱に見舞われた。数字が落ちた月こそ、この集中リスクを思い出す機会になる。

「鉄道へ移せば解決」という単純な図式は崩れつつある

物流の2024年問題を機に、長距離輸送を鉄道や船へ切り替えるモーダルシフト(=輸送手段の切り替え)への期待は高まった。しかし、実際に切り替えられる荷主は限られる。駅までの集荷と配達に別のトラックが要り、積み替えの手間も増える。リードタイム(=発注から納品までの時間)が1日延びるだけで、受け入れられない業種も多い。

加えて、鉄道側にも運転士や保線作業員の確保という制約がある。需要が増えても、すぐに運べる量を増やせるわけではない。期待と供給力の間にある隙間が、今回のような数字のぶれとして表に出た可能性もある。

本当に見るべきは、月次の増減より回復の速さ

独自の視点として強調したいのは、減少率そのものよりも、止まった後にどれだけ早く元の水準へ戻れるかである。取扱量が一時的に落ちても、翌月に戻れば荷主の信頼は保たれる。戻りが遅れれば、荷主は代わりの手段を探し、そのまま戻ってこない。

過去の災害後の例でも、不通期間中にトラックや船へ移った荷物の一部は、復旧後も戻らなかった。つまり今回の11%減は、数字以上に、荷主の取引先見直しが静かに進んでいないかを映す先行指標として読むべきである。

ビジネスへの影響

輸送手段を一本に頼らない契約へ見直す

鉄道を主力にしている荷主は、運休時にどの経路で、どの業者が、いくらで代行するのかを事前に決めておきたい。災害が起きてから探すと、トラックの運賃は急騰し、そもそも車両が確保できない。

具体的には、基本契約に代替輸送の条項を入れ、年に一度は実際に試験輸送を行うと良い。紙の計画だけでは、いざという時に動かないことが多い。

自社の荷物が受ける影響を数字で把握する

全体の減少率より、自社の荷物の月別・品目別の動きを確かめたい。鉄道比率が高いほど、運休1日あたりの欠品損失は大きくなる。在庫を何日分積むか、納期を何日延ばせるかを、損失額と並べて試算すると判断しやすい。

中小の荷主は、同業者と共同で在庫を持つ方法もある。単独では高くつく備えも、分け合えば現実的な負担になる。

鉄道への切り替えは、段階的に進めるのが安全

これから鉄道へ移す企業は、全量ではなく、納期に余裕のある荷物から試す方がよい。3か月ほど運用して遅延の頻度と追加費用を記録し、その結果を見て範囲を広げる。急に全量を移すと、止まった時の逃げ道がなくなる。

今回の数字は、鉄道を避ける理由ではない。強みと弱みの両方を知ったうえで、組み合わせて使うための材料である。

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