このページはPR・広告を含みます

鹿児島県がICT活用工事を試行 測量から検査までの変化

鹿児島県がICT活用工事を試行 測量から検査までの変化のイメージ

ニュースの概要

鹿児島県は、公共工事の現場で「ICT活用工事」の試行を行うと公式サイトで公表した。ICTとは情報通信技術のことで、ここでは、ドローンなどで測った地形を3次元のデータにし、設計や施工、検査まで同じデータでつなぐ進め方を指す。国土交通省が進めてきた「i-Construction」という取り組みの考え方を、県発注の工事にも広げる動きである。まずは試行の段階であり、対象の工事や条件を絞って現場の反応を確かめる位置づけだ。人手不足が深刻になる建設業で、県が仕事の進め方そのものを見直す一歩といえる。

引用元: 「ICT活用工事」の試行について(鹿児島県公式ホームページ)

分析・見解

国から県へ、ICT施工が広がる段階に入った

国の直轄工事では、2016年度からICTを使った土工が広がってきた。大規模な土木工事を中心に、導入は着実に進んでいる。一方で、県や市町村が発注する工事は規模が小さく、取り組みに差が出やすかった。今回の鹿児島県の試行は、その差を埋める動きの一つと読める。

国の基準があるため、県が独自の方式をゼロから作る必要はない。既存の要領に沿って試行すれば、受注する会社も学びやすい。ここが、県単位で広がりやすい理由である。

3次元データでつなぐと、現場の何が変わるのか

従来の測量は、人が杭を打ち、巻き尺やトータルステーション(=角度と距離を測る機械)で点を一つずつ拾っていた。ドローンによる測量なら、広い現場を短時間で面として測れる。数十万点のデータが数十分で手に入る。

施工では、設計の3次元データを建設機械に取り込む。重機が自分の位置を把握し、掘る深さや盛る高さを画面で示す。丁張り(=仕上がりの目印にする仮の杭や板)を減らせるため、手戻りも少なくなる。

検査でも変化がある。出来形(=仕上がった形)を、抜き取りの数か所ではなく面全体で確認できる。書類の量が減り、検査員の立会い時間も短くなる。

九州の地形と気象が試行の成否を左右する

鹿児島県には、桜島の火山灰、シラス台地、離島、急峻な山間地という特有の条件がある。シラスは雨に弱く、のり面(=人工的につくる斜面)の崩れが起きやすい。降灰がある日は、ドローンの飛行やセンサーの精度に影響が出る可能性もある。

離島や山間部では、通信環境が弱い現場も多い。衛星測位を使う重機は、基準局との通信が途切れると精度が落ちる。ここは本州の平野部の事例がそのまま使えない部分だ。

他県の先行例では、導入初年度に現場から「機器の設定に時間がかかる」という声が多く出ると言われる。試行を通じて、地域固有の条件に合った運用の工夫を集められるかが鍵になる。

一番の壁は機械の値段より、人の育て方にある

導入の壁というと、まず機材費が語られる。たしかに3次元対応の重機やドローンは高い。ただし、リース(=借りて使う方式)や測量会社への外注で、初期負担は抑えられる。

むしろ重い課題は、データを扱える人の確保である。点群データ(=無数の点で地形を表したデータ)の処理や、3次元の設計図の確認には専用の知識が要る。ベテランの職人と、ソフトを使いこなす若手が組めるかどうかで、成果は大きく変わる。

試行の期間は、この人材づくりを始める好機でもある。制度が本格化してから慌てるより、先に経験を積んだ会社が有利になる。

ビジネスへの影響

受注を狙う建設会社は、試行の間に経験を積むべきだ

まず取るべき行動は、試行の対象工事の条件を早めに把握することだ。工事の規模や種類、発注の時期を確認し、自社が対応できるかを見極める。

機器をすべて自前でそろえる必要はない。3次元測量は専門業者に任せ、自社は施工管理に集中する分担でも、実績は積める。この実績が、将来の入札で評価されやすくなる点は見逃せない。

社内では、現場代理人と若手の2人組で担当者を決めるとよい。研修は、メーカーや県の講習会を活用すれば費用を抑えられる。

測量会社や機器の販売店には新しい商機が生まれる

ICT活用工事が増えれば、測量会社やドローン事業者への依頼が増える。単に飛ばして測るだけでなく、データの加工から納品まで一括で請け負えると強い。

建機のレンタル会社や販売店にとっては、ICT対応機の需要が見込める。ただし、操作を教える支援まで付けられるかどうかで、顧客の定着が変わる。機械を売るのではなく、現場が回る状態を売る発想が要る。

費用対効果は工事の規模で見極める

小さな工事では、機器の準備や設定の手間が効果を上回る場合がある。目安として、土の移動量が多く、工期が長い工事ほど効果が出やすい。

導入の判断では、短縮できる日数と、手戻りの減少を金額に置き換えて比べたい。次の2点を最初に確認しておくとよい。

一つ目は、発注者が追加費用をどこまで見込んでくれるかである。二つ目は、自社が持つ技術者で運用できるかである。この2点を押さえれば、無理のない一歩を踏み出せる。

関連記事

本サイトは建設副産物・残土処理に関する制度と業界を公開情報から整理したものであり、個別案件の法的判断や処分方法の助言ではありません。盛土規制法・廃棄物処理法等の適用は自治体の運用により異なります。手続きは所管自治体・専門事業者にご確認ください。